感染症リスク下での多文化共生 ウェブパネル追跡調査報告

2020年9~10月に実施したウェブパネル追跡調査の結果概要を報告します

杉野 勇 http://www.li.ocha.ac.jp/ug/hss/socio/sugino/index.html (お茶の水女子大学)http://www.ocha.ac.jp/index.html
2021-01-26

☆追跡調査にご協力有難うございました

 2020年9~10月に,東京・千葉・埼玉・神奈川・愛知の1都4県で,18歳から69歳(2019年10月31日時点)の男性と女性のウェブパネル登録者でかつ1月の「多文化共生とライフスタイルに関するアンケート」に御回答いただいた702名の方を対象に,「感染症リスク下での多文化共生に関するアンケート」を実施させていただきました。現時点での基本的な結果概要をここに御報告いたします。
 縦断的調査(longitudinal survey)の一種であるパネル調査(Panel Study) 1ですので,部分的には1月の回答と9月の回答を関連付けてご紹介します。

 

◆調査実施についての基本情報

回答してくださった方々

 男性362名中280名(77.4%)の方が,女性340名中252名(74.1%)の方が追跡調査に御協力戴きました。既にモニターから退会されていたのは男性6.6%,女性4.4%でした。
 性×年齢別に見ると以下の様になります。

Table 1: 性×年齢別の追跡回答状況(%)
1 追跡回答 2 拒否 3 未回答 4 退会済
男18-29 48.5 2.9 36.8 11.8
男30-39 70.0 2.9 17.1 10.0
男40-49 87.6 3.4 4.5 4.5
男50-59 88.9 1.4 6.9 2.8
男60-69 88.9 1.6 4.8 4.8
女18-29 53.8 7.7 35.4 3.1
女30-39 76.6 1.6 15.6 6.2
女40-49 79.3 4.9 13.4 2.4
女50-59 75.8 0.0 18.2 6.1
女60-69 84.1 3.2 7.9 4.8
Sum 75.8 3.0 15.7 5.6

 都道府県別や都市規模別では回答率は大きな違いは有りませんでした
 モニター登録数別に見ると,第1回調査時の登録数が少なかった人ほど追跡調査への回答率がやや低いという結果でした。これは回答頻度で見ても同様の弱い傾向が見られ,「アクティヴ」であるモニターほど追跡調査でも協力が得られやすい事が分ります。

モニター登録動機についても大きな変化はなく,或動機の人達が特に追跡調査に協力し易いと云う事は無さそうです。

Table 2: モニター登録動機の1月と9月の比較
YES(Jan) TOTAL(Jan) YES%(Jan) YES(Sep) TOTAL(Sep) YES%(Sep)
生活費や小遣い 373 683 54.6 259 510 50.8
ポイントや謝礼 482 683 70.6 349 510 68.4
回答に興味 210 683 30.7 170 510 33.3
自分の意見 118 683 17.3 104 510 20.4
必要に迫られ 7 683 1.0 7 510 1.4
ひまつぶし 109 683 16.0 87 510 17.1
その他 16 683 2.3 7 510 1.4

◆東京オリンピックについて

問3 楽しみにしているか

問3 あなたは,東京オリンピック・パラリンピックを楽しみにしていますか。(1つだけ)
1 たいへん楽しみにしている
2 ある程度楽しみにしている
3 それほど楽しみにしていない
4 まったく楽しみにしていない

 2020年1月には「たいへん楽しみにしている」が22.8%,「ある程度楽しみにしている」が39.4%で合わせて6割を超えていましたが,9月にはそれぞれ,14.1%と33.1%に減少し,合せても5割を僅かに下回る程度でした。減少するのは自然であると考え,むしろ未だ5割近くの人が楽しみにしている事の方に注目すべきかも知れません。

問4 復興と多文化共生

 1月には,東京オリンピック・パラリンピックについて,
(1)東日本大震災からの復興を世界に示す上で大きな意味がある
(2)日本社会の多文化共生が促進される
(3)治安が悪くなる
についての考えを聞きましたが,9月には情勢の激変に応じて次の2つの意見について同意するか否かを尋ねました。

(1)新型コロナウィルスに打ち勝ったことを示す上で大きな意味がある
(2)海外からの旅行者が増えることで日本国内で感染拡大がおこるのが不安だ 1 たいへんそう思う
2 そう思う
3 どちらともいえない
4 そう思わない
5 まったくそう思わない
9 わからない

 9月の後,年末年始に大規模な感染拡大と2回目の緊急事態宣言,変異型ウィルスの国内流入など次々に大きな出来事がありました。2021年1月に一般有権者調査を行っていますので,これらの態度がどう変化したか興味深く待たれます。

◆多文化共生に関する態度

 この調査は多文化共生に向けての人々の態度を調べる事を目的の一つとしています。パンデミックの直前(2020年1月)と国内感染拡大の半年後(2020年9月)では,どの様な違いがみられるでしょうか。

問6 定住外国人への態度

 ここでは,「日本に定住しようと思って日本に来る外国人」に対する意見への賛否を見てみます。
行変数が1月の回答,列変数が9月の回答なので,右端のSumが1月の回答比率,下端のSumが9月の回答比率です。

(1)外国人家族がとなりに引っ越して来たらかなり気になる
1 たいへんそう思う
2 そう思う
3 どちらともいえない
4 そう思わない
5 まったくそう思わない

Table 3: となりに引っ越して来たらかなり気になる――行が1月,列が9月
たいへん 思う どちらとも 思わない まったく 1月計
たいへん 42.9 47.6 4.8 0.0 4.8 16.8
思う 2.2 51.1 33.3 8.9 4.4 36.0
どちらとも 8.8 26.5 32.4 17.6 14.7 27.2
思わない 8.3 16.7 8.3 33.3 33.3 9.6
まったく 0.0 15.4 7.7 30.8 46.2 10.4
Sum 11.2 36.8 23.2 14.4 14.4 100.0

(2)日本に住む外国人は日本のやり方に従うべきだ

Table 3: 日本のやり方に従うべき――行が1月,列が9月
たいへん 思う どちらとも 思わない まったく 1月計
たいへん 65.6 28.1 3.1 3.1 0.0 25.2
思う 9.7 74.2 11.3 4.8 0.0 48.8
どちらとも 3.7 29.6 63.0 0.0 3.7 21.3
思わない 25.0 25.0 25.0 25.0 0.0 3.1
まったく 0.0 0.0 50.0 0.0 50.0 1.6
Sum 22.8 50.4 21.3 3.9 1.6 100.0

(3)定住するために来る外国人が増えると,日本の福祉の負担になる

Table 3: 日本の福祉の負担――行が1月,列が9月
たいへん 思う どちらとも 思わない まったく 1月計
たいへん 55.0 30.0 15.0 0.0 0.0 16.0
思う 13.9 50.0 30.6 2.8 2.8 28.8
どちらとも 2.3 15.9 61.4 15.9 4.5 35.2
思わない 0.0 20.0 20.0 60.0 0.0 16.0
まったく 20.0 0.0 20.0 20.0 40.0 4.0
Sum 14.4 28.0 36.8 16.8 4.0 100.0

(4)日本経済は外国人労働者によって支えられている

Table 3: 日本経済は外国人労働者によって支えられている――行が1月,列が9月
たいへん 思う どちらとも 思わない まったく 1月計
たいへん 50.0 41.7 8.3 0.0 0.0 9.6
思う 7.1 57.1 26.8 5.4 3.6 44.8
どちらとも 0.0 26.7 60.0 11.1 2.2 36.0
思わない 0.0 14.3 57.1 28.6 0.0 5.6
まったく 0.0 0.0 40.0 40.0 20.0 4.0
Sum 8.0 40.0 39.2 9.6 3.2 100.0

(5)日本に来る外国人によって日本文化は豊かになっている

Table 3: 日本文化は豊かになっている――行が1月,列が9月
たいへん 思う どちらとも 思わない まったく 1月計
たいへん 16.7 83.3 0.0 0.0 0.0 4.9
思う 9.4 53.1 25.0 12.5 0.0 26.2
どちらとも 0.0 25.5 56.9 13.7 3.9 41.8
思わない 0.0 8.3 54.2 29.2 8.3 19.7
まったく 0.0 11.1 22.2 0.0 66.7 7.4
Sum 3.3 31.1 42.6 14.8 8.2 100.0

 ほとんど変化していない項目もありますが,1月よりも9月の方がやや定住外国人への寛容度が上がっていると思われます。

◆メディア利用について

 私たちの調査では継続して,人々のメディア利用についても調べて来ています。これは,今後の効果的な調査方法論の検討とも関係しています。

問7 SNS投稿・書込み頻度

問7. あなたは次にあげることをどの程度していますか。あてはまるものを1つ選んでお答えください。
(1)Facebook(フェイスブック)への書き込み
(2)Twitter(ツイッター)への投稿
(3)Instagram(インスタグラム)への投稿
(4)LINEのタイムラインへの書き込み
1 1日に5回以上
2 1日に1回以上
3 2~3日に1回程度
4 4~5日に1回程度
5 1週間に1回程度
6 2~3週間に1回程度
7 1ヶ月に1回程度かそれ以下
8 見るだけで書き込むことはしない
9 見たことがない
999 無回答

 非常に意外ですが,書き込まないと云う人が圧倒的多数に上っています。

問8 新聞と問16 情報源

 どの新聞を読むかと云う事と,何から情報を入手するかについて関連をみてみました。

問8. あなたが紙媒体でよく読む新聞があればお教えください。(あてはまるものすべて)
1 日本経済新聞
2 朝日新聞
3 読売新聞
4 毎日新聞
5 産経新聞
6 東京新聞
7 中日新聞
8 その他
9 紙媒体の新聞は読まない

問16. あなたが社会についてのニュースや情報をえるのは,「TVや新聞」からが多いですか,それとも「インターネット上のブログやまとめサイト,SNS」からが多いですか。(1つだけ)
1 ほとんどTVや新聞から
2 TVや新聞からが多い
3 どちらかといえばTVや新聞からが多い
4 どちらともいえない
5 どちらかといえばインターネット上のブログやまとめサイト,SNS からが多い
6 インターネット上のブログやまとめサイト,SNSからが多い
7 ほとんどインターネット上のブログやまとめサイト,SNSから

 読む新聞によって大きく異なるということはなさそうです。

◆政治関連の態度

問13 内閣支持率

問13a. あなたは,8月28日の辞任表明を知る直前には,安倍内閣を支持していましたか,それとも支持していませんでしたか。(1つだけ)
問13b. あなたは新しい菅義偉内閣を支持しますか,それとも支持しませんか。(1つだけ)
(2020年1月)問13. あなたは現在の安倍内閣を支持しますか,それとも支持しませんか。(1つだけ)

Table 4: 2020年1月と8月の安倍支持
8月支持 8月不支持 1月計
1月支持 75.1 24.9 42.5
1月不支持 9.9 90.1 57.5
8月計 37.6 62.4 NA
Table 5: 2020年1月の安倍支持と9月の菅支持
9月支持 9月不支持 1月計
1月支持 86.2 13.8 42.5
1月不支持 36.8 63.2 57.5
9月計 57.8 42.2 NA

 菅内閣は発足当初は非常に高い支持率でした。ここにもそれが表れています。

問15 保守―リベラル

(1月)問16. 政治的な考え方を,保守的から革新的までの11段階にわけるとしたら,あなたはどれにあてはまりますか。0がもっとも革新的,10がもっとも保守的として,0から10の数字でお答えください。(1つだけ)

(9月)問15s1. 政治的な考え方を,保守からリベラルまでの11段階にわけるとしたら,あなたはどれにあてはまりますか。0がもっともリベラル,10がもっとも保守として,0から10の数字でお答えください。(1つだけ)

色の濃いところは人が多い事を意味します。保守か革新かと聞かれた場合と,保守かリベラルかと聞かれた場合,多くの人の回答は類似しますが,一部で回答が異なる人もいる様です。数か月のうちに態度が変わったのか,言葉の意味合いが違って受け取られたのか迄はわかりません。

問14 国家への親しみや運動への共感

問14. あなたは,以下にあげる国に親しみを感じますか,それとも感じませんか。
(1)中国(中華人民共和国)
(2)韓国(大韓民国)
1 とても親しみを感じる
2 親しみを感じる
3 どちらかといえば親しみを感じる
4 どちらかといえば親しみを感じない
5 親しみを感じない
6 まったく親しみを感じない
あなたは,以下にあげる運動に共感しますか,それとも共感しませんか。
(3)香港の民主化運動
(4)アメリカ合衆国の黒人差別抗議活動(Black Lives Matter)
1 とても共感する
2 共感する
3 どちらかといえば共感する
4 どちらかといえば共感しない
5 共感しない
6 まったく共感しない

 中国と韓国への親しみは非常に低い水準です。反対に,香港の民主化運動や合衆国のBLMへの共感はかなり高いといえます。

問17 マイノリティへの態度

問17. あなたは次のような意見についてそう思いますか,それともそうは思いませんか。
(1)日本は,性的マイノリティ(LGBT)の人たちの権利保障をもっと進めるべきだ
(3)社会的弱者とされる人々は,平等の名の下に過剰な要求をしている
1 そう思う
2 どちらかといえばそう思う
3 どちらともいえない
4 どちらかといえばそう思わない
5 そう思わない
9 わからない

 1つ目はLGBTへの権利保障,2つ目は社会的弱者への批判なので,回答の方向がいわば逆を向いている点に注意して御覧下さい。
 LGBTの権利保障については肯定的な人が半数を占めますが,社会的弱者が過剰な要求をしていると考えている人は,そう考えない人よりもやや多いくらいであるのが注目に値します。

◆新型コロナウィルス流行下での意識

問17 権利の犠牲/自由の制約

 文言を無作為に提示して,人々の意見の異なりを比較しました。

問17_2. あなたは次のような意見についてそう思いますか,それともそうは思いませんか。あてはまるものをお答えください。
(2)ウィルスの拡散防止に役立つならば,〔自分の権利をある程度犠牲にしても/市民の自由をある程度制約しても〕かまわない
1 そう思う
2 どちらかといえばそう思う
3 どちらともいえない
4 どちらかといえばそう思わない
5 そう思わない
9 わからない
999 無回答

 平均的には,自分の権利を犠牲にする事には反対するが,市民の自由を制約する事には賛成しがちである事が見て取れます。そしていずれにしても反対は少数派である事がわかります。 

個人志向と社会志向

問23_4. あなたは次の意見について,どう思いますか。あなたのお考えに最も近いものを1つ選んでお答えください。
(4)みんなで協力して社会をよくすることよりも、個人の自由が守られることの方が重要だ
1 そう思う
2 どちらかといえばそう思う
3 どちらともいえない
4 どちらかといえばそう思わない
5 そう思わない
999 無回答

 やや関連する質問の結果を示しました。特に男性で,年長者ほど個人の自由の保護の方が重要だと思わない傾向はあるようです。男性の若年層を除いて,そうは考えない人がそう考える人と同じがそれ以上であると見て取れます。

問18 感染封じ込みこめと景気回復

問18. 今後3カ月程度の日本社会についてのあなたの考えは,次のA,Bの2つの意見のどちらに近いでしょうか。
A: 多少景気が後退しても行動制限を強めて感染を封じ込めるべきだ
B: 多少感染が拡大しても行動制限を緩めて景気回復をはかるべきだ
1 強くAに同意する
2 Aに同意する
3 どちらかといえばAに同意する
4 どちらかといえばBに同意する
5 Bに同意する
6 強くBに同意する
999 無回答

 女性は年齢による違いが小さいですが,やはり年長者ほど感染封じ込め志向がやや強いと云えます。男性では30代を除いてはその傾向が明確ですが,男性の30代と40代はやや対照的に見えます。

問19 高齢者と子どもや若者

問19. 新型コロナウィルス感染症に関して,「高齢者を長生きさせるために,子どもや若者に負担やがまんをしいるのは望ましくない」という意見がありますが,あなたはこれに同意しますか,同意しませんか。
1 強く同意する
2 同意する
3 どちらかといえば同意する
4 どちらかといえば同意しない
5 同意しない
6 まったく同意しない
9 わからない
999 無回答

 必ずしも明確に単調な傾向ではありませんが,やはり年長者ほど同意しない傾向があると言えそうです。

問21 生活の変化

問21_1. 緊急事態宣言発令前の2~3月頃と現在の生活をくらべると,以下のことはどの程度あてはまりますか。緊急事態宣言発令は,4月7日東京・埼玉・千葉・神奈川ほか,16日全国です。
(1)家族との会話が増えた(オンライン含む)
(2)生活のリズムが大きく崩れた

1 とてもあてはまる
2 ある程度あてはまる
3 どちらでもない
4 あまりあてはまらない
5 まったくあてはまらない
999 無回答

 生活のリズムは大きく崩れた人とそうでない人が拮抗していますが,家族との会話は或程度増えた人が多いようです。

問25 新型コロナ禍での経験

問25. 以下のことがらの中で,2020年3月以降に経験したものがあればお教えください。(あてはまるものすべて)
1 就職
2 転職
3 失業・廃業
4 配置転換
5 収入の大幅な減少
6 在宅勤務への変更
7 起業
8 転居
9 結婚
10 離婚
11 身体の不調による通院・入院
12 心の不調による通院・入院
13 いずれもない
999 無回答

○の数 ×の数 有効度数 ○の有効%
就職 6 526 532 1.1
転職 10 522 532 1.9
失業・廃業 10 522 532 1.9
配置転換 16 516 532 3.0
収入大幅減少 53 479 532 10.0
在宅勤務 61 471 532 11.5
起業 1 531 532 0.2
転居 15 517 532 2.8
結婚 4 528 532 0.8
離婚 1 531 532 0.2
通/入院(身) 39 493 532 7.3
通/入院(心) 12 520 532 2.3
皆無 367 165 532 69.0

 在学勤務は特に悪い経験ではないので除くと,大幅に収入が減少したと云う人が1割,通院や入院を経験した人が1割弱いたのが目立つところで,約7割の人がここに挙げた事を何も経験していないと云うのも意外でした。

問27 収入の変化

問27. 今年2月から7月のあいだの収入は,昨年(2019年)の2月から7月のあいだの収入とくらべると,どの程度になったと感じていますか。もっとも近い数字を一つお選びください。
0 収入がなくなった
1 昨年の2~3割程度になった
2 昨年の半分程度になった
3 昨年の7~8割程度になった
4 昨年と変わらない
5 昨年より2~3割程度増えた
6 昨年より5割程度増えた
7 昨年より7~8割程度増えた
8 昨年の倍以上になった
999 無回答

 年齢階級別に収入の増減を見てみましたが,必ずしも大きな違いはない様です。若年層は増えた人も多少いることがわかります。減少している人はおおよそ3割弱と云ったところです。

◆社会調査に対する信頼度

問23 アンケートや公的統計

問23. あなたは次の意見について,どう思いますか。あなたのお考えに最も近いものを1つ選んでお答えください。
(5)社会についての正確な情報を得るために,大学などの研究機関がおこなうアンケート調査は有効な手段である
(6)現在の日本の公的統計は政策形成や制度設計の根拠としてどの程度信頼できると思いますか。
(7)現在の日本のマスメディアによる世論調査はどの程度信頼できると思いますか。
1 そう思う
2 どちらかといえばそう思う
3 どちらともいえない
4 どちらかといえばそう思わない
5 そう思わない
999 無回答

 「そう思う」との答えが一番多かったのは「大学などの研究機関がおこなうアンケート調査は有効な手段である」に対してでしたが,「どちらかといえばそう思う」を加えると公的統計の信頼性の方が僅かに多いです。但し公的統計の信頼性は否定的な回答も大学などのアンケート調査の有効性よりも僅かに多いです。しかしいずれにしても有効性または信頼性を認めてくれている人が半数を超えているのは少し安堵する結果でした。
 マスメディアの世論調査も,全体的には信頼されていますが,この3種の中ではやや信頼が低いと言えるかもしれません。それでも信頼できないという回答は2割にも満たない程度です。

協力いただきました皆様に改めて御礼申し上げます。

先行する調査の結果報告

 2019年1月の調査結果については以下で公開しています。
ウェブパネル第1波結果報告
一般有権者調査の結果報告


  1. 同一個人対象に行う縦断的調査をパネル調査と呼んできましたが,近年では日本語で「登録モニター」や「アクセスパネル」と呼ぶ事の多い,インターネットアンケート回答の為にモニター登録している人達を「ウェブパネル(Web Panel)」「オンラインパネル(Online Panel)」(英語では他にも,voluntary opt-in web panelとか,Non-Probability Online Panel=NPOPなど)と呼ぶ事が多く,単に「パネル調査」と云うだけではどちらの意味であるかが分かりにくくなってきました。よってここでは,「ウェブパネル追跡調査」などと呼ぶ事にしています。↩︎