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中村研究室

2016年3月28日更新

研究分野紹介

民族舞踊学(舞踊人類学)

舞踊は、その社会文化的背景と深く結びついた表現様式をもっています。現地調査(フィールドワーク)や実技実習により、自身の身体を通して舞踊の動きが持つ意味や社会の中で果たす役割について考え、文化という視点から舞踊を研究していきます。

私が研究対象としているのは、東南アジア地域の舞踊ですが、特に非西欧地域を対象にした学問分野というわけではありません。民族舞踊学を方法論としてとらえれば、西欧のクラシックバレエも文化とのかかわり方という視点から研究するならば、研究対象にもなり得るわけです。

舞踊記譜法

8ミリフィルムやビデオカメラなどの科学技術がなかった時代には、舞踊のフィールドワークにおいて、身体運動を記録する手段は、絵や言葉あるいは記号による記述しかありませんでした。西洋音楽の五線譜は音楽の記譜法として普及していますが、舞踊にも、それほど普及していないとはいえ様々な記譜法があり、かなり精緻な身体運動を記譜できるものもあります。

私は、Labanotation(ラバノテーション)という記譜法を用いて舞踊の分析をしたり、情報工学の研究者らと共同で、コンピュータの内部表現としての身体運動の記譜法を考案する研究や、モーションキャプチャを用いて民族舞踊の身体表現の「わざ」を分析するという研究もしています。

講義・演習科目紹介

民族舞踊学講義

2年生必修の講義科目です。インドネシア・バリ島の舞踊を中心にアジア地域の舞踊、日本の伝統芸能と民俗芸能、東欧のフォークダンスなど、舞踊を学ぶ者の教養として知っておいて欲しいものを幅広く扱います。実際の映像資料を見ながら、舞踊のシステムや見方について学びます。舞踊教育学コースの学生は、バレエやモダンダンスなど劇場舞踊に触れる機会は多いようですが、劇場以外の場所で行われる舞踊があり、それがどのような社会的機能を果たしているのかといったことにも、これを機会に関心を持ってほしいと思います。また、将来民族舞踊学を専攻しないとしても、それらの知識を得ることによって、舞踊の表現者としての創作の幅が広がってくれればいいなあと思っています。授業では特に予習は課しませんが、授業の中で習得してもらいたいので、出席は、ばっちりとります。また、学期末テストも行います。

民族舞踊学実験演習

3年生の選択必修科目です。舞踊のフィールドワークの方法論について学びます。フィールドワークに基づいて書かれた舞踊学の論文を読んだり、フィールドワークのあり方について書かれた文章を読んだりして、ディスカッションを行います。また、実際に、各自で調査計画書を作成し、夏休みなどを利用して調査を行ってもらいます。9月末の後期授業が始まる前に「調査報告会」を行います。とても実践的な演習なので、卒論でフィールド調査を行おうと考えている学生向きです。最近では、そういうことに関係なく受講する学生も多いのですが、自主性が求められる演習なので、やる気がないと挫折します。

主な卒業論文テーマ

  • ベネッシュ・ムーブメント・ノーテーションとモーションキャプチャーの舞踊研究への応用-クラシックバレエを事例として-
  • 佐賀県の面浮立の芸態比較研究-音成・母ヶ浦・袴野の3地区を事例として-
  • 日本の小・中学校における伝統芸能教育の実際-「子どもの文化芸術体験活動の推進」事業と「総合的な学習の時間」の分析を通して-
  • 郷土芸能の伝承と地域-学校間教育―獅子舞を学校教育に取り入れた3事例の比較考察―
  • 大駱駝艦の舞踏に関する一考察:大駱駝艦・天賦典式特別体験舞踏合宿を事例として
  • 顔隠しの舞踊に関する研究―おわら風の盆、西馬音内盆踊りを事例として―
  • 舞踊における女性裸体表現とその表象―「性」から「生」、そして「聖」の次元へ―
  • 東北地方の民俗芸能による地域復興に関する研究-劇団わらび座の活動を中心に-
  • 太極拳による身体の変化に関する意識調査-国立台北芸術大学における実践を事例として-
  • 韓国伝統舞踊における「恨」の表出に関する一考察

主な修士論文テーマ

  • 岩崎鬼剣舞における「こころ」と「かたち」二元論の考察―「わざ」の継承を手がかりとして―
  • 中学校『総合学習』における能の授業実践に関する研究
  • 金剛山歌劇団の民族舞踊伝承に関する研究―Diaspora文化研究の視点から―
  • 大田区大森「水止舞」における地域社会と民俗芸能の関係―伝承の現場に着目して

卒論作成に向けて

3年次

  • 11月頃 指導教員決定後は、週に1回のゼミに参加する。
  • 3月 先行文献の収集を行い、予備調査を行う。

4年次

  • 4月 研究対象・テーマの確定
  • 4月から6月 文献・予備調査の検討、本調査の計画作成
  • 7月から9月 本調査の実施
  • 10月から12月上旬 本調査の分析、本文の執筆
  • 12月中旬 本文の推敲、卒論の完成

学習の仕方

卒業論文でフィールド調査による舞踊研究をしたいと考えている人は、まず、研究対象(調査対象)の舞踊(芸能)を早い時期に決めることが肝要です。できれば、3年生までのうちに、「これを調べてみたい」というものに出会ってほしいです。それが決まったら、それについてどのような研究が既に行われているのか、先行研究を調べましょう。人がすでにやっているのと同じことをやっても意味がありませんので、自分がそれを対象にして何をどのような切り口で研究するか、またどのようにオリジナルな部分を出していくかを考えます。民族舞踊学(舞踊人類学)の論文は少ないと思いますので、関連するテーマの文化人類学や民俗学などの論文も読みましょう。

参考書リスト(主要なもの)

教科書

舞踊人類学関係(日本語で読める入門書的なもの)
  • 舞踊教育研究会(編),『舞踊学講義』,大修館書店,1991年
  • 遠藤保子,『舞踊と社会―アフリカの舞踊を事例として』, 文理閣,2001年
  • 宮尾 慈良,『アジア舞踊の人類学―ダンス・フィールド・ノート?』,PARCO出版局,1987年
舞踊記譜法関係(Labanotation)
  • Hutchinson, Ann :Gust, Labanotation, Theatre Arts Books, New York, 1977
  • *Muriel Topaz, ELEMENTARY LABANOTATION-A Study Guide- Second Edition, Princeton Book Co,1996
    *上記の本の日本語訳を出版してくださる出版社を探しています。

やや高度な教科書

舞踊人類学関係

Judith Lynne Hanna, To Dance Is Human: A Theory of Nonverbal Communication, Univ of Chicago Pr (Sd),1987

舞踊記譜法関係

Hutchinson, Ann :Gust CHOREO-GRAPHICS- A Comparison of Dance Notation System From the Fifteenth Century to the Present, Gordon and Breach, New York, 1989

学術雑誌

  • 舞踊学(舞踊学会)
  • 民族学研究(日本民族学会)
  • 民俗芸能(民俗芸能学会)
  • *Yearbook for Traditional Music (International Council for Traditional Music)
    *ICTMには民族舞踊学の研究部会があり,舞踊の論文も掲載されます。
  • Conference Proceedings (International Council of Kinetography Laban/Labanotation)
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