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小林 誠 KOBAYASHI, Makoto

2023年6月27日更新

研究分野とテーマ

国際政治学・国際関係学・平和研究・政治学

地球政府の存在しないアナーキーな世界。堅い殻で自国を覆い、外敵から身を守る。相互の不信と猜疑心で同盟だって長続きしない。こういった世界観が国際関係の基本でした。グローバル化の急速な進展はそうした国際関係の基本構造をどこまで変容させているのでしょうか。

こうした問題を批判理論の立場から考察しています。政府間関係に限定されてきた狭義の国際関係に多様なアクターが参加したトランスナショナルな関係が加わって、多層構造が編成されているわけですが、それは実はグローバル化の進んだ現代に特有な現象ではありません。非国家アクターなど昔から存在していました。ここで問われているのは、「所与」とされてきた国際関係そのものがそもそも何であるのか、それを私たちはどのように認知しているのか、という主観的問題なのです。つまり、政府間関係としての国際関係の原イメージが近年になってなぜ批判されるようになったのかという問題の立て方をすべきなのです。おそらく素朴な実証主義に立つ限り、そうした国際関係の理解の変容の意味は理解できないでしょう。

私たちは世界をどう眺めているのか。世界各地に紛争は絶えないし、減ったとはいえ核戦争の危険はまだ残っています。経済的格差は拡大するばかりで、地球環境破壊は深刻化の一途です。テロリストが暗躍し、ドローンの違法な越境攻撃が日常茶飯事となり、各国で人権侵害や民主主義の動揺も広がっています。そうした地球的危機を乗り越える構想は実証主義を超えた知の水準に求めるべきでしょう。一つの展望は、ナショナルな民主主義を深化させるとともに、グローバルな民主主義を広げる規範的な考察にあるのかもしれません。 

担当科目

政治学総論I
政治学総論II
国際関係論
平和構築論I
平和構築論II
グローバル文化学総論
グローバル文化学方法論
生活世界の安全保障4 平和と暴力

教育と研究のプロフィール

2007年にお茶の水女子大学に赴任しました。それまで、メキシコ大学院大学、ジョンズホプキンス大学、ケンブリッジ大学で客員研究員として在外研究を行いました。

文献の乱読と精読(の使い分け)、それに徹底した討論が、豊かな知識を身につけるための起点だと思っています。また、与えられた枠組みの中で解答を出す問題解決アプローチも重要なのですが、勉強を積み重ねていくうちに、問題の設定そのものを問い直すような批判的アプローチが重要になってくるということを念頭に置いて、教育を支援しようと考えています。これはもちろん自分の研究についての示唆でもあって、自分の設定した問題を自己批判しながら更新し続けることを心がけています。やっかいなことですが。

世界について学ぶということ、比喩的に言えば「国境を越える」ということは、実にスリリングな試みです。自分の成り立ちを一挙に相対化することができ、その危うさの中から新しい自分を築くことができるからです。これはおもしろい!

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