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岸本 美緒(きしもと みお:中国史)

2016年4月8日更新

岸本先生の研究室の皆さん

研究テーマ

専門は明末清初(16世紀から18世紀)の中国社会経済史で、気が多いせいか、いろいろなテーマの研究をしてきました。最初にやったのは物価と市場の問題、それから社会思想と民衆運動、売買契約と民事慣行の問題、といったテーマを扱ってきまして、今は主に身分関係を中心に少しずつ論文を書いています。テーマは移り変わりましたが、一貫して関心のあるのは、一言でいえば、この時期の中国の社会秩序のあり方のもつ個性です。16世紀の世界的な動乱を経て、世界の各地ではそれぞれの個性をもつ新しい秩序が成立してきましたが、清代中国の社会のあり方はそのなかでどのような特徴を持っているのか。その問題を、一面では世界史的な比較の視野から、またもう一面では、当時の中国の地方社会に生きる一般の人々の考え方を理解しようと努めながら、考えてみたいと思っています。

学生への一言

私が大学・大学院時代に習った中国史の先生のゼミは「一日三行」のゼミとして知られており、漢文史料を一字一句徹底的に読み込もうとするものでした。しかも大学院では、規定の授業時間をはるかに超えて、朝から晩まで1日中ゼミが続きました(今から思うとなぜ学生が文句を言わなかったのか不思議ですが)。そこで私が学んだことは何かというと、もちろん様々な知識とか漢文の読み方はある程度身に付きましたが、それ以上に生理感覚として「史料に真剣に向き合うときには、時間の無駄とかエネルギーの無駄とかいうことはあり得ないんだ」ということを学んだと思います。それを知っただけでも、大学にはいった甲斐がありました。私には一日中ゼミをやる度胸はちょっとないですが、皆さんにもゼミや卒論作成の際に、効率性とかは気にせず、史料に向き合って自分の頭をとことん絞りぬく苦しさと至福を味わっていただきたいと思っています。きっと忘れられない経験になるでしょう。

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