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平山茜さんから国立台北芸術大学(TNUA)交換留学の中間報告が届きました

2026年3月10日更新

平山茜さんから国立台北芸術大学(TNUA)交換留学の中間報告が届きました
(2026年2月28日)

台湾の国立台北芸術大学に留学中の平山茜さんから、舞踊教育学コース学生へのメッセージ(中間報告)が届きましたので掲載します。平山さんは、舞踊教育学コース卒業後、大学院(修士課程)に進学し、台湾の国立台北芸術大学に交換留学生として留学しています。
お茶の水女子大学国際教育センターのWEBサイトにも留学の中間報告書が掲載されていますので、併せてお読みください。
https://www.cf.ocha.ac.jp/gec-out/haken_voice/d017570.html

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平山茜 舞踊・表現行動学コース博士前期課程1年
台北藝術大学舞踊学院 交換留学記録 2025年秋学期

私は、台湾の国立台北芸術大学(通称:北芸大またはTNUA)舞踊学院に修士課程の学生として交換留学をしています。2025年9月から2026年6月までの通年留学で、今回は秋学期(9月~1月)の様子を報告します。

北芸大は関渡山に位置し、眺めの良い自然豊かな学校です。MRT関渡駅からバスで約10分の場所にあり、敷地内には劇場や音楽ホール、美術館、赤レンガ建築が点在し、芸術と自然が融合した環境の中で日々インスピレーションを得ています。

舞踊学院には、高等部、学部、大学院修士・博士課程が設置されています。高等部・学部では、プロダンサーを育成する高度な技能と体力が求められる授業を中心に展開され、大学院では表演・創作・理論の専攻に分かれ、ダンサー、振付家、教師、研究者などそれぞれの領域に特化したり、領域を横断しながら学びを深めたりできる印象です。
実技科目では、中国由来の伝統舞踊や武術、モダンダンス、バレエを主として、台湾原住民舞踊やバリ舞踊、コンタクト・インプロビゼーションなど多様なダンスにも触れることができます。また、現地の学生たちは解剖学や舞台技術などの座学や実践を通して、舞踊に関連する知識を身につけています。
舞踊学院の学部には、この秋学期、アメリカ・イギリス・オーストラリア・香港から10名の交換留学生がおり、修士課程には中国・南京から1名いました。他国の学生との交流を通して、文化に対する視野を広げることができました。私は大学院生として、交換留学生のなかでも特に柔軟に履修することができ、高等部、学部、修士課程の授業の中から選択することが可能でした。

今学期は実技科目を中心に履修し、モダンダンス、昆曲、台湾原住民楽舞、太極導引、振付創作、そして雲門舞集の代表作品『水月』を習得する授業に参加しました。古今東西の踊りの技術や知識に触れながら、北芸大生ならではの強靭な身体や踊りに対する真摯な心構えがどのように形成されるのかを実感しました。さらに、台湾各地の原住民ダンスカンパニーの代表者によるオムニバス講義は大変興味深く、聴講しながら台湾原住民の歴史と、コンテンポラリーダンスとして現代の原住民文化を再発信する意義について考えさせられました。履修していた一部の授業では、先生や学生から研究協力の許可をいただき、修士論文のための映像記録を撮らせていただくこともできました。

大学内では、不定期で多種多様なワークショップが開催されています。例えば、蒂摩爾古薪舞集(Tjimur Dance Theatre)という原住民ダンスカンパニーのワークショップでは、台湾のパイワン族が大切にしている歌にのせて、呼吸と力強い足腰の動きを体験しました。また、フランスの音楽学院の音楽家が招かれ、劇場にモーションキャプチャを設置し、身体動作に同調して音楽を演奏させる実験的なワークショップも実施されました。

平日の放課後には、私は週に一度、雲門舞踏教室という雲門舞集が運営する市民向けダンス教室の大人クラスに通っています。北芸大で教わる内容との類似点を発見したり、台湾でコンテンポラリーダンスがどのように一般に親しまれているのかを学んだりすることができています。休日には舞台鑑賞をすることが多く、特に雲門舞集による『關不掉的耳朵』、當代傳奇劇場によるシェイクスピア『テンペスト』を京劇で上演した『暴風雨』、そして学生コンクール『舞躍大地舞蹈創作比賽』が印象に残っています。

北芸大の部活動は、日本の大学や台湾の他大学とは異なり、あまり存在しておらず、各専攻の創作活動や勉学に専念している学生が多い印象です。数は多くありませんが、私は座禅クラブを見つけ、健康維持や他専攻の学生や社会人の方々とのつながりの場にもなっていることから、活動に参加しています。

台湾原住民文化のフィールドワーク学習にも、10月と年末年始の二度参加しました。
一度目は、花蓮のタロコ族を中心に学びました。地元の学校や福祉施設で原住民の人々とダンスワークショップを通じて交流し、現代の原住民がどのように生活し、文化を伝承しているのかを垣間見ることができました。また、感恩祭に参加した際には、日本語を話せる高齢者もおり、伝統装束の刺繍に込められた意味を親切に教えていただきました。日本統治時代の名残がそうした人々や建造物から感じられ、それが原住民文化と溶け合っていることは非常に感慨深かったです。二度目は、台東のプユマ族の複数の部落で年末年始に大々的に開催される「大猟祭」を訪問し、伝統的なしきたりや行事の持つエネルギーを肌で感じることができました。

12月は舞踏学院の恒例舞台公演、通称「年度展」を鑑賞しました。全学生が真剣な練習や鍛錬を日々重ねてきたことが想像され、その技術の高さや迫力に魅了されました。年度展は年に5月と12月に学内の劇場で、約4日間上演されます。毎回、4名の国内外のプロの振付家や大学の一流の教師が学生たちに群舞作品を振付し、4作品が発表されます。5月の公演では学年ごとに作品が創作されます。12月の公演では舞踊学院内でオーディションが行われ、学生は希望する作品の選考を受けて参加できるようになります。

期末期間は、12月末から1月上旬にかけて学内の曼菲劇場というブラックボックスシアターで、数日に分けて発表がありました。各学年の振付作品や、バレエ、武術、モダンダンスの授業で習得した技術の成果を発表する場となっています。
まず、私は中国人の交換留学生の友人の振付作品に出演しました。香港の交換留学生とデュオ作品として練習し、中国の友人が培ってきた舞踊や振付の知識、さらにはその文化的背景にまで触れることができ、とても楽しかったです。さらに、自身が振付創作の授業で創作してきたソロ作品も発表し、発表後には観客との交流タイムが設けられ、最後に先生方から講評をいただきました。浴衣とビニール袋、日本の所作を用いた作品でしたが、自分の意図や文化背景がどのように受け止められるかについて、複数の先生方から意見や質問をいただき、貴重な機会となりました。

今学期は、舞踊を通じて多くの色濃い経験を得ることができました。来学期はアウトプットにも力を入れつつ、より多くの交流を広げ、学びを深めていきたいと思います。



大学内の風景
大学内の景色


モダンダンスの授業
モダンダンスの授業


昆曲の授業
昆曲の授業


大学1年生が~1
大学1年生が~2
大学一年生が体育の授業で取り組んできた伝統芸能の成果発表を兼ねた祭事


大学構内に~
大学構内に突如出現する個性的なパフォーマンスの光景


舞踊学院の~
舞踊学院の12月公演『地心』の看板


大学1年生が~3
大学一年生が中心となって公演の裏方業務に取り組む様子


10月に~1
10月に~2
10月に授業の一環として参加したタロコ族感恩祭フィールドワークの様子


年末年始に~
年末年始に授業の一環として参加したプユマ族大猟祭フィールドワークの様子


期末発表で~1
期末発表で自身が創作・出演した作品『一口気』


期末発表で~2
期末発表で出演した友人の振付作品

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