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2026年6月4日更新
2025年度は26名の学生がグローバル文化学環を卒業しました。その中で、卒業研究提出者の中から成績優秀な人に授与される「グローバル文化学環奨学生」には、長尾璃子さんとリップル・アメリさんが選ばれました。
長尾さんの卒業研究『母語活用の学習支援からみる外国につながる子どもの教育保障―公立小学校における実践に基づいて―』は、神奈川県愛川町の公立小学校における参与観察およびインタビュー調査を通じて、外国につながる子どもへの母語活用支援の実態を実証的に検討したものです。特筆すべきは、日本語指導教室の運用実態を「柔軟性」という観点から批判的に問い直した点です。支援が教員個人の工夫に依存しやすい構造を明らかにし、制度的持続可能性の欠如という問題を鋭く指摘しました。また、母語・日本語・英語の間に埋め込まれた言語的序列を、教室空間における権力関係を考察した試みは意欲的です。さらに、学術的貢献だけでなく、フィールドにおいて粘り強く人間関係を築き、子どもたちの支援に真摯に向き合い続けた姿勢も優れています。現場との誠実な関わりがあってこそ、説得力ある結論が導き出されたといえます。現場実践と学術的考察を高い水準で両立させた本研究は高い評価を受け、受賞に至りました。
リップルさんの卒業研究『ルーマニアにおけるロマ音楽の文化政治―周縁化、文化の流用、そしてルーマニアの国民性の再生産―』は、文化の盗用に関する理論とロジャース・ブルベイカーの国民意識(nationness)理論を用い、ルーマニアの国民意識という文脈におけるロマの周縁化と、ロマ音楽に対する文化的評価というパラドックスを探求した論文です。上記の理論的枠組みを基盤とし、さらにはルーマニア在ロマの歴史的背景の調査と、ルーマニア国内での広範なフィールドワークとインタビュー調査を通じて、マネレ音楽とロマの人々に対するルーマニアの文化的態度に関する説得力のあるデータを収集しました。リップルさんは、ロマ音楽を評価しつつもその人々を拒絶するという一見パラドックス的な状況は、矛盾ではなく、ルーマニアの国民国家化が進む国内における「国民意識」の継続的な実践の直接的な帰結であると論じています。広範な現地フィールドワークと独創的な理論枠組みは審査員から高く評価され、受賞に至りました。
2025年度は徽音堂にて卒業式が行われ、その後、グローバル文化学環主任教員から学位記等が学生に手渡されました。グローバル文化学環奨学生へは、授賞式にて主指導教員から賞状・賞金が授与されました。
※2025年度卒業生の卒業研究タイトル、就職先・進学先一覧は下記関連リンクから見ることができます。