杉山研究室
研究分野紹介
現代社会におけるスポーツ及び舞踊の意義を総合的に直接・間接的に追及するのがこの研究室の目的である。そのためには、入室希望者にはスポーツ及び舞踊と日常的な身体運動を含めた運動文化の在り方を批判的に問うことを自らの課題にしてもらいたい。研究の姿勢として、このような批判的精神が不可欠である。研究テーマは卒論の題名からもわかると思うが、運動文化に関わるあらゆる事柄が対象となる。研究の領域も、体育学や舞踊学の人文社会系の諸科学を横断しており広範囲にわたる。
研究は自らの実践から発した問題意識を興味関心のある学問領域に位置づけることから始まるが、研究の対象は主として特定の理論や思想(体育学・舞踊学に限定されない)である。有体にいえば、ある理論や思想を吟味、駆使して経験的事実を再解釈し、新たな知見を得ることが求められる。そのためには実践経験と運動文化への強い関心、そして幅広い知的関心が要求される。
入室希望者には、第一に将来体育教師や指導者を希望するものを求める。また入室の条件はスポーツ文化論演習の履修が最低条件である。その他、1、2年生で複数に渡る幅広い実技種目(スポーツ健康実習及び生涯スポーツ等)の履修、運動部やサークル等の活動をしてきた学生を求める。
講義科目
「体育原理」
この科目は、2年生の必修であるとともに、教職必修科目でもある。体育に関わる問題を専門用語の解説を通じて概観する。体育への関心を深めると共に、その意義についての理解を深めることを目的として、後半は関連した領域からのレポートとディスカッションを行う。
「スポーツ文化論演習」
この授業では、自らの問題意識や関心を体育学や舞踊学の中に位置づけることを目的として、関連した研究論文や文献を整理してレビューを作成することが課題である。授業ではレポート発表とディスカッションによって、次回の課題と作業を明確にしながら最終的に先行文献のレビューを作成し、プレゼンテーションを行う。
卒論作成に向けて
3年次後期
10月〜3月 ゼミでの文献抄読会(1回/週)への参加
4年生
研究経過についての報告とディスカッション(週1回)
4月
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研究計画の提出(就職希望者は就職活動と併せた計画を立てること)
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4〜6月
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先行文献の整理
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7月
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中間発表1
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7〜10月
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研究の実施
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11月
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中間発表2
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11〜12月
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論文の作成
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12月
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提出
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1月
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プレゼンテーション
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学習の仕方
1・2年生ではスポーツやダンスへの熱情的な実践が不可欠である。できるだけ広く様々な領域への関心をもって、書物を読むこと。最低限週1冊の読書を習慣化させること。応用科学としての体育学の性格からして、自然科学と人文社会学で少なくともそれぞれ1領域(例えば生理学や解剖学と教育学あるいは哲学など)に特に関心をもち、実践経験の中から自らの問題意識を膨らませること。
参考書
<一般的なもの>
興味関心のあるあらゆる雑誌、書物、情報を参考書とし、それらをデータとして自分の言葉で考えること。
<専門的なもの>
体育の科学
体育科教育
体育学研究
体育・スポーツ哲学研究
スポーツ教育学研究
QUEST
現代思想
進路
教員希望者は大学院への進路を進めるが、その困難さを充分認識して取り組むこと。就職希望者は自らの意志と努力で切り開くこと。
過去の卒論題目
- プロ野球ファンに関する一研究('88)
- スポーツ選手の強化制度について('90)
- l992年度ラグビールール改正に関する考察('92)
- 中学校体育教師の資質('92)
- 小学校体育における新しい評価のあり方('93)
- 日本競馬における女性ファンの増加について―JRAの施策を中心として―('93)
- 日本近代前期における日本泳法と近代泳法('93)
- 中学・高校サッカー選手のファウル行為に関する一考察('94)
- 企業メセナに関する一考察〜日本型舞台芸術支援のありかたについて〜('94)
- スポーツドーピングに関する一考察('94)
- 蹴鞠の芸能史上での位置付け('94)
- 表象としてのテニス('96)
- スポーツ・スポンサーシップに関する一考察―ゴルフトーナメントを通じて―('97)
- 肉体の行方、言葉の現在地('97)
- 「マルチメディアとスポーツ」に関する考察('98)
- サッカー・フーリガニズムに関する研究('98)
- 養老孟司の身体観('98)
- 高校野球の魅力に関する研究('98)
- 樋口聡『スポーツの美学』の考察('99)
- ナイキのブランド・イメージ戦略に関する考察('99)
- 国府町「因幡の傘踊り」に関する研究―その現状と継承―('01)
- 波照間島におけるムシャーマの社会的機能('01)
- エジプト・カイロにおける「ベリーダンス」の実態('01)
- 舞踊分野へのメセナ活動〜トヨタコレオグラフィーアワードを事例として〜('02)
- 公共ホールの設立計画プロセス('02 )