04. 典礼書(15世紀)の零葉
15世紀につくられた典礼書の霊葉。三位一体の主日の典礼の一部が記されている。フォリオの表全体と裏4分の3にはレスポンソリウムのネウマ譜が、裏の残り4分の1には交唱と祈願「Omnipotens sempiterne Deus...(全能永遠の神よ...)」が手書きされている。
中世盛期以降、ロンガやブレビスなどの音符を使った定量記譜法が登場し、音の高低だけでなくリズムも譜面上で表現できるようになった。また、4本ないしは5本の譜線が引かれ、その左端にハ音記号やへ音記号などの音部記号が付けられるようにもなっていった。写真のネウマ譜は5線で、アルファベットの大文字「C」を記号化したハ音記号が左端に添えられている。
レスポンソリウム(responsorium)は典礼音楽のひとつの形態。ひとりの歌い手が先行して独唱し、それに会衆が応答して(respondere)唱和する形式であったことから、そう呼ばれるようになったと考えられている。この零葉のレスポンソリウムは『典礼音楽集成』(Corpus Antiphonalium Officii)の6870番に類似している。
歌詞:
(表)
R. (Honor) virtus et potestas et imperium sit trinitati in unitate unitati in trinitate in perenni secu-
(裏)
lorum tempore.
V. Trinitati lux perennis unitati sit decus honore que perpetim.
R. 誉れと徳と力と統治は、一体のうちの三位にあれ。三位のうちの一体にあれ。世々に永遠に。
V. 三位に永遠の光あれ。一体に永久(とわ)の誉れあれ。
文・訳:馬場幸栄、演奏: 伊藤佳衣
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