=シンポジウム= of 教育史学会第56回大会(お茶の水女子大学)



2012年9月22日(土)・23日(日)

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シンポジウムのご案内
テーマ:多文化教育の歴史と現在~多文化から公教育を再考する~

シンポジウムポスター(PDF)

日時
2012年9月22日(土)14:00~17:45
場所
お茶の水女子大学共通講義棟2号館201号室

報告者 
佐久間孝正氏(元立教大学)
中村(笹本)雅子会員(桜美林大学)
新保敦子会員(早稲田大学)
指定討論者 
駒込 武会員(京都大学)
宮腰英一会員(東北大学)
司 会 者 
柏木 敦会員(兵庫県立大学)
小玉亮子会員(お茶の水女子大学)

<趣旨>
 経済のグローバル化とそれを促す規制緩和によって、国境を越えた人々の移動が大きなものとなっている。人々の移動は、豊かさの差によってその流れが形成され、もともと多民族国家が多いヨーロッパ各国には、アジア等からの外国人移民が多数居住するようになっている。移民の増加傾向は日本にも現れ始めている。
 また、アジアやアフリカの国々では公教育制度が整備され、初等教育に加え、中等教育も普遍化しつつあるが、言語の教育など、多民族国家であるがゆえの公教育の組織化の困難に直面している場合が多い。
 多民族国家であることと移民が増加していることとが重なって、どの国でも、程度の差はあれ、その公教育において多文化教育が重要な要素になってきている。国民教育制度として構築されてきた近代公教育は、大きな方針転換を迫られている。国民教育にいつまでもこだわる日本(あるいは東アジア)とはやや違って、ヨーロッパでは多文化教育が推進され、公教育の枠組み自体を拡げ、弾力化したところもある。しかし一方で、多文化教育が国民の統合を弱め、あるいは民族や宗教の隔離、分立、対立をもたらすことが懸念され、シティズンシップ教育というソフトな名前の新しい国民教育もまた推進されつつある。
 上述の視点から改めて、国民教育制度を中核に構築された近代公教育、あるいは権利保障を主眼に再構築された現代の公教育を見直してみれば、そこにはおそらくエスニックマイノリティや移民の排除、あるいは統合への模索、といったさまざまな試行過程が確認できるのではないかと考えられる。
今回のシンポジウムでは、主として戦後史における多文化教育の展開、拡充過程に着目し、いくつかの国の多文化教育の歴史や現状を確認しつつ、そのことを通じて公教育のあり方を再考する視点や論点を拡げるような議論ができることを期待している。

佐久間氏関連業績
『イギリスの多文化・多民族教育』(国土社、1993年)
『変貌する多民族国家イギリス―「多文化」と「多分化」にゆれる教育―』(明石書店、1998年)
『外国人の子どもの不就学―異文化に開かれた教育とは―』(勁草書房、2006年)
『移民大国イギリスの実験―学校と地域にみる多文化の現実』(勁草書房、2007年)
『外国人の子どもの教育問題―政府内懇談会における提言―』(勁草書房、2011年)
『在日コリアンと在英アイリッシュ―オールドカマーと市民としての権利―』
(東京大学出版会、2011年)

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