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第49回創作舞踊公演にむけて湯浅永麻振付・委嘱作品『シェヘラザーズ』リハーサルが進行中!

2022年4月7日更新

第49回創作舞踊公演(4月22日)では、国際的に活躍するダンサー・振付家の湯浅永麻氏による『シェヘラザーズ』(初演2021年)より一部抜粋を舞踊教育学コース学生有志が上演します。この作品の初演時の出演者の一人で、3月のリハーサルにアシスタントとして参加された舞踊教育学コースの卒業生・内藤治水さんによるレポートです。
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 3月の春休み中に1日3時間、全8回、コロナ感染対策を十分に取りながらリハーサルが行なわれました。作品は『シェヘラザーズ』という約1年前に湯浅さんによって創られた作品です。『千夜一夜物語』に登場するシェヘラザードという女性を題材に、社会を強く生き抜く女性たちを描いた作品です。舞踊教育学コースの新4年生5名、新3年生7名の計12名の学生によって、初演時の一部抜粋が上演されます。

リハーサル初日・2日目は、既存の短いフレーズの振付を全員で覚え、身体の使い方を習得しました。
作品全体を通して、身体をひねり続けることで生まれる動き、身体の部位で空間に円を描くような動き、身体を波打たせるようなウェーブの動き、この3つの動きを軸に振付がつくられています。ただ形を真似るのではなく、自分自身の身体を目一杯使うことで、身体そのものが強調される動きが生まれます。
 学生たちは真剣な眼差しで湯浅さんの動きに注目していました。

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 リハーサル3日目には、ソロパートの分担を行い全員にそれぞれ振付が写されました。この作品は一人一人の短いソロを紡いで構成されており、全員でのユニゾンのシーンは僅かです。学生それぞれが持つエネルギーや個性に合わせて、パートの振り分けが行われました。

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3月下旬、リハーサル後半に入ると、構成を組み立てる作業が行われました。音楽と動きのタイミングを合わせたり、人の配置を確定したりなど作品の大まかな形が見えてきました。
シーンとシーンの繋ぎ目を何度も調整してベストなタイミングをつくり上げてゆきます。

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3月のリハーサルの最後2日間は湯浅さんによる個人指導の時間となりました。身体の使い方はもちろん、振付のイメージや質感、そして音楽の捉え方などきめ細やかな指導が入ります。

湯浅さんが学生に向けた言葉の中で特徴的だったものは、
「ヘビが狭いところから出てくるように」
「貧血になったことある?そのときの倒れ方みたいに」
「オペラ歌手が歌うように息を吸って」
「お化け屋敷に行ったときの強張り」
など、日常生活における”こんなときの身体”という表現を多用していたことです。身近で馴染みがありイメージしやすい言葉で伝えていました。
  リハーサルでの湯浅さんの言葉に注目していると、日々生活を送る中でいかに日常の身体感覚を大切にしているかが伺えます。また、身のまわりの出来事に対する観察力、洞察力がダンサーにとって非常に大切だと感じました。
  また、音楽の捉え方について、湯浅さんは音楽と動きの関係性に非常に強いこだわりを持っていました。
今回の使用曲が管弦楽曲であったため、
「演奏者はどのようにこの曲を奏でているかをイメージしてみて」
と湯浅さんは学生たちに投げかけていました。曲調と振付の関係性、振付にどのように抑揚をつけていくかを音楽の力を使って研究していきます。ただし、音楽に影響されすぎるのではなく自分の中のリズムやスピードを殺さないように、と湯浅さんからアドバイスが入ります。
何度も音楽を聴きながら振付を練習している学生たちの姿が印象的でした。

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 超一流のダンサーから卓越したダンスの上演技術を学ぶことができるばかりでなく、プロのダンサー・振付家の作品を上演するということは、学生だとなかなか得られない機会です。今回は既作品の一部抜粋の上演とはいえ、『シェヘラザーズ』はダンサー自身の動きを踏まえて構成されている作品なので、一回一回がリハーサルというよりはクリエーションの時間でした。海外で長く活動をしている湯浅さんだからこその社会の捉え方や日本という国の見方がクリエーション中に滲み出ていました。

全体的にとても良い雰囲気で、大いに刺激を受けた濃密な時間となりました。4月の数回のリハーサルでさらに磨きがかかると期待します。4月22日の本番が楽しみです。(文責:内藤治水, H31舞踊卒)

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第49回お茶の水女子大学創作舞踊公演特設HP  HOME | WAKEUP

湯浅永麻公式サイト home | Mysite (emayuasa.com)

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