ページの本文です。

戸川 貴行(とがわ たかゆき:中国史)

2018年6月28日更新

戸川先生ゼミのみなさん

研究テーマ

専門は魏晋南北朝時代(3世紀から6世紀)の中国音楽史ですが、その前は軍事・財政史に興味がありました。こうした軍事、財政をはじめとする国家制度の視点から、中国音楽史を新たに読み解いてみようというのが、私の研究スタンスです。
上記の研究スタンスは、音楽を芸術の視点のみからとらえた場合、邪道と映るかも知れません。しかし、新しい研究は、それまで人が忌避して手をつけてこなかったところから始まります。日本の中国学は、軍事・財政史に多くの蓄積があるので、自分がその方面の勉強をしていた頃は、偉大な先人の残した枠組みの隙間埋めをしていたように思います。今は新たな視点から、音楽史を再構築していくことで、そこから解放されつつあるというのが、私の正直な思いです。
魏晋南北朝時代は、騎馬遊牧民が中国本土において活発な移動を開始し、農耕民との接触・対立・融合を通じて、新たな秩序を形作っていく、ある意味でグローバル化の原点ともいうべき時期です。為政者たちも、こうした時代の変化に合わせ、様々な国家プランを打ち出していきます。彼らがそうした新たな国家像を音楽でどのように表現しようとしたのか、という問題を追究していきたいと考えています。

学生への一言

同じ史料でも、センスや読み方によって、得られる情報の質・量が違ってきます。最初は単なる漢字の羅列に見えても、問題関心をもって読み続けていけば、そこに書かれている情報の濃淡や、当然書かれているはずの情報の欠落等に気づけるようになるでしょう。こうした眼光紙背に徹する経験を少しでもしてもらえたらと思っています。

  •  
  • このエントリーをはてなブックマークに追加