?

グロ文生のVOICE

イスラエル留学体験記(グローバル文化学環3年、竹内詩織)

イスラエルでの滞在
私が2008年9月から2009年4月まで約六ヶ月滞在したイスラエルは、聖書に登場する土地として宗教的に非常に重要であるのと同時に、現在ではパレスチナ人、イスラエル人との対立で世界中から注目を浴びている国です。 とは言え、イスラエルに来る前までの私は、ヘブライ語は全くのゼロ、イスラエル建国の歴史やパレスチナ問題についても知らず……という状態でした。それなのに、なぜ、イスラエルだったのか? 話は二年前にさかのぼります。当時学部一年生だった私は、個人旅行でイスラエルを訪れました。これといった理由があるわけではなく、漠然とした異文化への興味から、三大一神教の聖地が重なるエルサレムを見てみたかったのです。そこで目にしたのは、日本では遭遇することのないものの数々でした。黒ずくめのユダヤ教正統派と呼ばれる人の格好、地区ごとにまったく様子が違う旧市街、金に輝くモスク……。その中でも、シャバットというユダヤ教の安息日の夜、同じ格好をしたユダヤ教徒が嘆きの壁の前に続々と集まって祈りを捧げる光景は、強く頭に焼きつくものでした。日本の文化の中で育った私の目にはそれは異様に映ったし、こういった文化を持つ人が世界には存在するのかと、にわかには信じられませんでした。私にとって、ただの金曜日の夜で、ただの壁で、「神」という存在はそこには見ることはできなかったのだけど、一体彼らには何が見えているんだろう、宗教とはどういうものなんだろう。そう思ったのが、宗教に根ざした生活を知りたいと思ったきっかけです。そして、旅行者としてではなく長期滞在をして、もっと色々なものを見て、聞いて、歩きたいと切実に思ったのが、イスラエルという場所を決めた大きな理由です。自分の知らない文化がより顕著にあらわれているのがイスラエルであると思ったのです。

イスラエルの治安(2009年3月時点)
イスラエルはエジプト、ヨルダン、レバノン、シリアに囲まれた中東の国で、建国の経緯や度重なる戦争により、イスラエルの主張する国境、アラブ諸国が主張する国境が未だ一致していない曖昧な地域です。日本では何かと危険というイメージのイスラエルですが、生活する分には危険は感じることはなく、2008年末に起こったガザ空爆のときですら普段と変わりありませんでした。ただ、当初は驚いていた街中を歩く軍人の姿やデパート等の入り口での手荷物検査に慣れた状態なので、私の感覚は麻痺してしまったのかもしれません。現に2009年に入ってからもレバノン側からロケット弾が数発落ちています。三年前のレバノン戦争のことを簡単に話すイスラエル人の日常と、私達の考える日常とでは大きな差があると思います。戦争が身近にありながら、生活水準は日本と同じくらい。なにをもって「安全」を定義するのかはわからないけれど、これは「異常だ」と考える感覚を持っていたいと感じます。

イスラエル

イスラエル

イスラエル

[VOICEトップへ戻る]

このページのトップにもどる