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2023年7月12日更新
日本の幼稚園や保育所における保育は一般的に、子どもの自発性を見守り、子どもが自分からやり始める遊びを重視する傾向がありますが、「それで教育といえるのか」という問いが戦前から繰り返されています。でも、保育は、英語にするとcareとeducationという2つの単語を合わせないと表せない言葉なのです。保育するということについて、子ども理解、育ちと発達、保育文化、倉橋惣三、幼小接続などをキーワードに、考えていきたいと思います。
人はみなかつて子どもだったと言われますが、他方で、最近の小学生は私たちとは違うという話もよく耳にします。子どもについてのイメージが共有されることもあれば、全く異なることもあるでしょう。これには社会や文化が決定的な影響を与えていると思われます。子どもをとりまく諸問題について、時間的・空間的な比較という方法を駆使してマクロな視点から考えていきたいと思っています。
乳幼児期は、人間として生きていくうえでの基礎を築く時期であり、子どもは遊びをとおしてさまざまな環境と関わり、育っていきます。幼稚園・保育所・認定こども園といった保育・幼児教育施設は、子どもの健やかな育ちを導く重要な役割を担っています。それらがすべての子どもにとって最善であることをめざし、子どもや保育・幼児教育に関わる制度・政策・歴史・環境について考えていきたいと思います。
こんな経験をしてほしい、こんな力が大切…など、大人が持つ子どもへの思いはさまざまです。それらは、言語化される理念や目標だけでなく、日常生活や環境、そして子ども同士のやりとりなどにも様々に表れてきます。皆さんはどのような思いを受けてきて、またどのような思いを持つでしょうか。子どもの姿をじっくりと見ることや、他者との対話によって、自分には当たり前と思っていたことが少し異なる角度から見えてくるかもしれません。