
ゼミでは「大久保利通文書」「伊藤博文関係文書」などを使って、明治期の史料を読み込むことをしています。日本史のほかの時代と違って近代史は、史料を読むための専門的なトレーニングはそれほど必要ないのですが、その分膨大な関連史料から必要な史料を選び出し、深く読み解くことが求められます。参加する学生さんの関心も広いので、一つの史料をみんなで丁寧に読むより、自分が関心のあるテーマに沿って研究方法を会得していくことのほうが効率的です。その点、大久保や伊藤は明治の歴史のあらゆる分野に関係しており、自分に興味のあるテーマに関する史料はどこかに必ずあるので、学生諸君も面白がって調べてくれます。
少しでも資料を読み解く醍醐味を味わってもらおうと思ってやっています。ゼミは、学生が歴史研究の森に初めて足を踏み入れる大事な一歩なので、教師のほうも自然と力が入りますが、一番勉強になっているのは、当の教師本人なのかも知れません。
夏には卒論を抱えた四年生のために、例年合宿をしています。普段のゼミでは時間が足りなくて思いつかないことも、合宿でカンヅメになると絞り出されてくるので、大変は大変ですが、結構面白くやっています。
参考までに、小生のところには日本の近代史に興味を持ったアジアからの留学生が多く来て一生懸命に勉強しています。そのうち合宿もソウルや北京でやるようになるかもしれません。彼女たちをみていると、お茶大生ももっと積極的に留学してほしい、と思います。留学の機会も増えていますので、じっくりと留学する機会など得られそうもない僕からみると、なんともうらやましい限りです。送り出す支援の努力は惜しみませんから、積極的にどこでも行ってほしいと思います。と言い続けているうちに、いつの間にか私と似たような関心を持って海外に調査に行く学生が増えてきました。続く学生が多く出てほしいと思います。
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