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Q&A

2016年3月28日更新

高校で地理の授業を受けていないのですが、地理環境学のプログラムを選択できるでしょうか?

できます。世界史や日本史はもちろん、政治経済、倫理社会の授業で習う内容には、たくさんの地理的知識が含まれています。逆に、地理の授業を受けたことがある人なら、そこに世界史や日本史、政治経済、倫理社会の知識や考え方がふんだんに用いられていることに気づくでしょう。 知識は相互に結びついていて、しかも既存の知識をたよりに、新しい知識へと向かっていくものです。高校で授業を受けていない科目でも、哲学、人類学、考古学、あるいは医学、薬学などの学問は、大学で学ばれています。

地理学は理系ですか、文系ですか?

地理学は理系と文系の両方の側面をもっています。どのような地理的現象を扱うかによって、理系に近くなったり、文系に近くなったりします。 しかし、そもそも理系か文系かという区分は、現実を理解し、現実に働きかける上で有効とは思えません。理系と文系という区分は戦前の旧制高校のクラス分けの際に取り入れられた考え方で、現在の高校のクラス分けにも引き継がれています。この考え方は、欧米の知識を能率よく学ぶには便利な分け方でした。でも、自分で問題を作り、自分で問題を解くときには単純すぎる考え方でしょう。たとえば環境問題、情報社会の諸問題は理系の問題か、それとも文系の問題かを考えてみると、理系と文系の分類が固定したものに感じられなくなるはずです。

地理学では、何でもテーマにできると聞いたことがあります。本当ですか?

地理学が好きな人は、地理学が扱う対象があまりに多方面にわたっているために、そう考えてしまうことがあります。しかし、「何でもテーマにできる」といういい方は、少し正確ではありません。たとえば、心そのもの、法律そのものは扱えません。しかし、これらを地表面と関連づけて考えるなら、地理学のテーマになります。たとえば、恐怖をいだく景観、法的に規制された土地利用を扱うのなら、りっぱに地理学のテーマです。 地理学がさまざまなテーマを扱っていることは、地理環境学プログラムの卒業論文の題目を見るだけで、すぐに納得がいくでしょう。あっと驚くようなテーマが、地理学では扱うことができるのです。

地名をたくさん覚えておく必要がありますか?

そんなことはありません。知らない地名に出会ったら、地名辞典や地図帳で調べるクセをつけておけばいいと思います。地名にかぎらず、人名、時代名などの固有名詞は、覚えようとしても、なかなか覚えられるものではありません。そもそも関心もないのに、たくさんの固有名詞を覚える必要があるでしょうか。旅行に行ったり、ニュース番組を見たりして、地球上のさまざまな現象に関心をもつなら、地名はあなたの友人の名前と同様に、覚えようと努力しなくても覚えてしまうものです。もっとも、テレビのクイズ番組には地名に関する問題が出ることが多く、その際には地名をたくさん丸暗記しておくと有利かもしれません。

女性は地図を読むのが苦手だという説を聞いたことがあります。本当ですか?

そういう説を唱える学者もいます。しかし、遺伝子が地図の読み方の能力まで決定しているという考えは、やはり無理があるのではないでしょうか。本学で地理学を学ぶ学生は、卒業時にはさまざまな地図を使いこなしています。地図に熱中する女性は「変わっている」という見方が、これまであったかもしれません。また、これまで女性たちがつくことができた職業の種類は限られ、さらに家事、育児、介護などの責任を伝統的に男性よりも多く負わされてきました。しかし、今後は、都市計画、交通、不動産、気象予報、環境保護などの「空間的」職業につく女性が多くなり、地図は女性たちにとって身近な存在になるものと私たちは予想しています。ある地図会社では、女性社員が中心になって、これまでとは違う表現の都市地図が作られ、評判にもなっています。 地図は誰でも理解できるものだと考えられています。携帯電話やインターネットで簡単にダウンロードできる都市地図には、海岸線の輪郭が描かれ、道路や鉄道が描かれ、集落が描かれ、それら地表面の事実は、見るだけでわかるかのようです。しかし、地図を「読む」ということは、地図に描かれた記号から何か他の現象との関連に想像が及ぶということです。それは、一定の知識と訓練なしには、誰でもできるというものではありません。たとえば、地理学者が地形図を読むとき、地図はいつも起伏のある地表面として見えています。 ところで、あなたは地図が好きですか。

自分には現地調査(フィールドワーク)が苦手に思えるのですが?

カリキュラムでは地理学フィールドワークA, Bが必修科目ですが、段階を踏んで授業を受けていくと、それほど難しい技術ではないことがわかるはずです。本や論文を読んである地域に関心をもつと、その地域に行きたくなりませんか。そして実際にその場所に足を運ぶと、予想外の経験をすることがあり、その驚き、とまどいが、自分を新しくしていることに気づくでしょう。 卒業論文では、次にあげるコンピュータによる分析法や、文献調査による研究法もありますから、絶対にフィールドワークを課しているわけではありません。

GISという言葉をよく聞くようになりました。これは地理と何か関係があるのでしょうか?

GISとは、Geographic Information Systemの略で、地理情報システムと呼ばれます。これは、地図の位置情報と、各地点、地区の統計を結びつけて、分析、地図化を行うソフトウェアで、最近では、銀行、コンビニエンス・ストア、ファースト・フード店などの他、自治体の都市計画部門、環境対策部門などで用いられています。お茶大地理学コースでは、ArcGISという地理情報システムがパソコンにインストールされていて、研究、教育で積極的に用いられています。

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