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大学院における地理学の教育・研究

2022年4月8日更新

はじめに

本学における大学院修士課程での地理学および関連分野の研究は、博士前期課程ジェンダー社会科学専攻の中で取り組むことができます。

現代社会においてジェンダーの課題が重要であることは、SDGsをみるまでもなく明らかとなりつつあり、グローバル化、生活空間、地域、自然環境などの問題をめぐり具体的にみることができます。たとえば、ある湖の千年単位の環境史を研究することは、その湖をかけがえのないものとして捉え、現代の私たちが資本主義的な「生産」活動を問い直し、むしろ家族および地域の「再生産」の領域に目を向けることにつながらないでしょうか。また近年のコロナ・ウィルスの流行がもたらした「ステイホーム」の政策は、さまざまな家族や仕事、地域(グローバルな関係を含む)の状況にある「ホーム」に大きな責任を負わせており、そこからいくつかのジェンダーおよび生活様式の課題が見えてこないでしょうか。

本専攻では、これらを念頭におきつつ、グローバル化にともない変容する空間・地域・環境をめぐる諸問題を、ジェンダー、さらには人間―環境関係、社会・経済の空間性、国際関係、国際協力、人間の移動とコミュニティ、健康・福祉、日常生活における場所の感覚やアイデンティティなどのさまざまな視点から地理学的に研究できます。研究対象も、自然環境、建造環境、居住空間、地域開発、ローカルな文化とその変容など多岐にわたり、具体的な研究方法も、社会科学の理論に加え、フィールドワーク、観測、GIS、統計分析と数理モデルの構築など多彩です。

女性研究者が地理学界の中で新しく提起しうる問題群は数多くあります。フェミニスト地理学にかぎらず、地理学研究のフロンティアに積極的にかかわる人の進学を期待しています。研究職をめざす人だけでなく、国際機関や政府関係機関、NGOなどで国際協力や国際交流にかかわろうとする/かかわった経験を持つ人、学校教育の場で地理教育や開発教育、異文化理解などにかかわる人、環境政策やマーケティングなどの分野で活躍しようとする人、地域振興(地域おこし)にかかわろうとする人など、幅広い関心を持つ人の進学も期待しています。

教育

ジェンダー社会科学専攻では、自分の問題関心と方法論に即して3 つの科目群(ジェンダー研究・専門・学際方法論)からさまざまなパターンで講義・演習等を履修することが可能です。

地理学および関連分野の科目の多くは専門科目群に含まれており、グローバルな環境問題からローカルな人間・環境関係までを論じる「自然環境論」、社会地理学・都市地理学の諸問題をマッピングの手法(GIS)によって分析する「地理情報論演習」、地理的不均等や地域社会・文化に埋め込まれた経済を考察する「地域経済論」、ジェンダーの視点に注目しつつ、地域・空間・場所と文化や社会との関連性を考える「地域社会文化論」などを開講しています。

各科目の詳しい内容は、本学のwebシラバスからご覧になれます。

学位(修士号)

 ジェンダー社会科学専攻では、修士号の専門分野として、人文科学、社会科学、生活科学、学術の中から1つを選ぶことができます。

地理学分野では、たとえば、社会・経済地理学分野は「修士(社会科学)」、自然地理学分野は「修士(学術)」、文化地理学分野は「修士(人文科学)」として学位を授与された例が多くなっています。

修士号の授与には修士論文を作成し、合格することが必要です。最近の修士論文の題目はこちらからご覧になれます。

進路

修了後の進路の実績として、中学・高校の社会科・地歴科教員、環境にかかわる企業、研究所、そして社会福祉や都市計画にたずさわる公務員、研究機関、さらに留学の後の開発・海外協力の職員などがあります。

資格に関しては、社会科・地歴科の専修免許状の取得が可能です。また、専門社会調査士の資格取得を目指すことができます。

博士後期課程へ進学し、研究活動を継続することも可能です。専門分野として地理学を専攻する場合、博士後期課程はジェンダー学際研究専攻へ進学することになります。詳しくはジェンダー学際研究専攻のページをご覧ください。

地理学分野の教員

ジェンダー社会科学専攻には、地理学を専門とする教員が4人所属しています。

職位 氏名(専門分野) 主な担当科目 研究者情報 個人サイト
教授 水野 勲 (数理地理学、経済地理学) 地域経済論
教授 宮澤 仁 (都市地理学、福祉地理学、GIS) 地理情報論

准教授

長谷川直子 (自然地理学、陸水学) 自然環境論
准教授 倉光ミナ子 (文化地理学、オセアニア地域研究) 地域社会文化論

入試情報

入試情報については、以下をご覧ください。また、進学に関する詳しい相談は、上記教員までお願いします。

お茶の水女子大学入試課webページ

ジェンダー社会科学専攻 入試情報

学士・修士一貫教育トラックによる進学

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